沖縄戦で焼失、首里「御茶屋御殿」の復元可能性を調査へ 県予算で計上


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御茶屋御殿の遺構=那覇市首里崎山町

 沖縄戦で焼失した御茶屋御殿の復元を巡り、県が2022年度に事業化可能性調査を実施することが14日、分かった。15日開会の県議会2月定例会に提案する22年度一般会計当初予算案に、調査費500万円を盛り込んでいる。

 御茶屋御殿を巡っては、那覇市や那覇市議会などが首里城と合わせて復元するよう国や県に求めていた。県は22年度、既存資料の収集と整理に着手し、整備主体をどうするかなど事業化に向けた課題を整理する。

 県の担当者は「どのような調査が可能か詳細は今後検討していく」とし、収集した情報は国、県、那覇市で構成する「御茶屋御殿ワーキンググループ」にも共有する方針を示した。

 1677年創建の御茶屋御殿は冊封使らの歓待に使用されるなど、琉球文化の発信地だった。戦前は国宝の候補にもなったが、沖縄戦で焼失。現在は跡地に首里カトリック教会や付属幼稚園が建っている。

 地元那覇市や市民団体からの要請もあり2007年に「御茶屋御殿ワーキンググループ」が設置され、文化財指定や復元の事業主体、手法などについて検討してきたが、議論は膠着(こうちゃく)していた。
 (当銘千絵)