玉城知事が県政運営方針で強調した言葉とその狙いは?AIで分析、記者が解説


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キーワードの使用頻度や重要度などを色や大きさで可視化する「ワードクラウド」の手法を使い、玉城知事の2022年度県政運営方針を可視化した図(分析は、ベンチャー企業の「ユーザーローカル」(東京)が無料で提供する「AIテキストマイニングツール」を活用した)

 玉城デニー知事は、15日に発表した2022年度の県政運営方針で、掲げた公約は「全てに着手」したと強調するなど、就任3年間の実績を前面に打ち出した。任期満了日の9月29日までに実施される県知事選に向け、玉城知事は再選に向けて出馬する意向を近く表明する見通しで、県民に県の取り組みをアピールする狙いがあるとみられる。知事選時に掲げた「新時代沖縄の構築」の文言を随所に盛り込むなど、「デニーカラー」も濃く反映された。

 県によると、22年度の運営方針は前年比で約4千字増え、政策の方向性や事業展開を広範に盛り込んだ。

 内閣府の22年度沖縄関係予算は、前年度比326億円の大幅減となる2684億円となるが、新型コロナウイルスで落ち込んだ経済の立て直しに向けて「振興予算、税制、政策金融を積極的に活用する」と強調。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や、観光振興基金の設置など、新たな沖縄振興計画で推進する政策の方向性を示した。

 県政の最重要課題である名護市辺野古の新基地建設を巡っては、沖縄防衛局が提出した変更承認申請を不承認とし、埋め立て工事全体を完成させることが困難な状況になったと指摘した。新基地は造らせないという公約の実現に向けて「あきらめず、ぶれることなく、全身全霊で取り組む」と強調するなど、問題解決に向けて前進させる決意を示した。

 昨年の県政運営方針で掲げた、在沖米軍専用施設の全国比を「50%以下」にするとの目標値は堅持し、取り組みを強める考えを述べた。

 一方で、さまざまな施策に対して「推進」や「拡充」という言葉を多く使っているものの、実現への具体性に欠ける文言もみられた。玉城知事の力点が見えにくいとの指摘も上がる。

 1期目の3年は基地問題や新たな沖縄振興計画策定の重要課題を抱えながら、新型コロナウイルス感染症や豚熱、軽石漂着など、就任時には想定しなかった難題への対応に追われる格好にもなった。県として大きな節目となる復帰50年記念事業を推進しつつ、山積する課題解決に向けた知事の手腕が問われる集大成の年となる。(池田哲平)