MICE計画案、県内最大級 競争力強化、規模縮小も集客量拡大


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 玉城デニー知事が18日に発表した大型MICE施設などの基本計画案では、メイン展示場の面積が従来計画の3分の1に縮小したものの、県内では最大級のMICE施設となり、受け入れ許容量の拡大につながる。

 県内では大人数を受け入れられる施設がなく、需要の取りこぼしが課題となっている。2019年度の県内でのMICE実績1638件のうち、千人以上の規模は67件、4%にとどまっている。

 県によると、昨年、県外の企業が3500人規模のインセンティブツアー(報奨旅行)を企画し、各500人規模で五つの分科会の実施を希望した。しかし、県内に同規模のツアーを受け入れることが可能な施設がないため、実現しなかったという。

 大型MICE施設の最大収容人数はコンサートなどで使用する際の1万7千人程度で、沖縄コンベンションセンター(宜野湾市)に比べ、4倍以上の規模となる。宿泊、飲食などで経済波及効果の大きい大規模MICEを誘致することで、一般観光客よりも県内での消費を高める狙いがある。

 国内には展示場面積が1万平方メートルより大きい施設は既に複数ある。アジアでは10万平方メートル規模の展示場も少なくないことから、県経済界は競争力を高めるために3万平方メートルの確保を求めてきた。

 ただ、新型コロナウイルスの影響により、オンライン会議が世界中で一気に普及したこともあり、規模感については修正を余儀なくされた。

 県は当初、財源に一括交付金を活用する方針だったが、内閣府は交付を認めなかったことから、今回の施設整備は民間のノウハウを生かして施設を設計、建設、運営する方式で行われることになった。

 大規模な施設整備にこだわっても、数万人規模の催事を頻繁に開催することは現実的ではなく、民間事業者の運営に対する重荷になりかねないことから、将来的な拡張性を残しつつ規模を縮小する方針にシフトした。

 今後、コロナ禍が収束してMICE需要が回復すれば、県外・国外の施設間で誘致競争が激しくなることも考えられる。民間企業の知見やノウハウを生かして、規模だけではなくソフト面も含めた施設の特色を出し、競争力を高められるかが問われている。
 (中村優希)