石垣市長選 尖閣諸島への見解、新庁舎建設は?立候補者政策比較(下)


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石垣市役所(資料写真)

 【石垣】27日投開票の石垣市長選に立候補している、新人の砥板(といた)芳行氏(52)、現職の中山義隆氏(54)=自民、公明推薦=は、ともに「保守」という政治姿勢で一致する。前市議の砥板氏はこれまで中山市政を支える与党だったが、市役所新庁舎建設の発注を巡り昨年12月に中山氏と対立した。選挙戦では、尖閣諸島を巡る考え方でも両者に違いが見られる。(西銘研志郎)

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<市役所新庁舎建設>砥板氏 地元優先発注掲げる 中山氏 県外業者「問題ない」

 昨年11月、世界的建築家の隈研吾氏が設計を手がけた市役所新庁舎が落成した。地上3階、地下1階建ての鉄筋コンクリート造で、屋根に葺(ふ)かれた赤瓦は県外業者に製作が発注された。瓦を接着する漆喰(しっくい)は使われず、漆喰をあしらったデザインが施されている。

 新庁舎建設を巡っては設計変更や工期延長に伴う工事請負金額変更が市議会で議題になった際、「市から詳しい説明がない」などの疑問が呈されていた。野党から契約変更の手続きに不備があるとの指摘や、県外産の赤瓦の使用などに批判が相次ぎ、地方自治法100条に基づく調査特別委員会(百条委)も設置されている。

 百条委メンバーでもあった砥板氏は、県外産赤瓦が使われた経緯を追及し、工事に島外作業員が多数参加したことなども問題視してきた。市長選の公約には、公共事業での「地元業者優先発注促進」を掲げている。

 中山氏は「漆喰を使うと維持管理費がかかるので、隈氏が新しい瓦をデザインした」と経緯を説明。「県内の業者に瓦の焼成を依頼したが断られたため、県外で製作した」として問題はないとの認識を示している。


<尖閣諸島の扱い>砥板氏 国と連携も強硬戒め 中山氏 周辺海域調査を主張

 保守を自認する両候補だが、市の行政区域内にある尖閣諸島へ対する考え方にも違いが見える。

 中山市政は2020年、市議会に尖閣諸島の字名を「登野城」から「登野城尖閣」に変更する議案を提案し、可決された。字名変更に伴い、市は尖閣諸島へ設置するための行政標柱も作成した。また今年1月には、中山氏や市職員らが東海大の調査船に乗り込み、尖閣諸島を船上から視察している。

 砥板氏は「尖閣諸島がわが国固有の領土であると国際社会に発信し、国とも連携していくべきだ」と訴える。ただ、現場海域は高い緊張関係があるとし、「導火線に火を付けるような行為は厳に慎むべきだ」と中山氏を批判する。

 中山氏は「漁業などに生かすため、周辺海域の調査など、行政としてできることをしていきたい」と主張する。尖閣諸島を取り巻く状況を広く知ってもらうために、昨年末に開館した市尖閣諸島情報発信センターの利活用も訴えている。


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