桑江、森山氏の一騎打ちの公算 沖縄市長選、投開票まで2カ月 今秋知事選に影響も


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左から桑江朝千夫氏、森山政和氏

 【沖縄】4月24日投開票の沖縄市長選まで2カ月となった。自民、公明の支援を受けて3期目を目指す現職の桑江朝千夫氏(66)と、玉城デニー知事を支える「オール沖縄勢力」を基盤に挑む前市議の森山政和氏(73)の一騎打ちになる見通しだ。2期8年の実績と知名度を武器にする現職に対し、新人側は候補者選定で出遅れた体制作りを急ぐ。沖縄市は玉城知事の「お膝元」でもあり、今秋の知事選にも影響を与えそうだ。

 桑江氏は昨年12月に市議会で3期目への出馬を表明し、同じ月には後援会主催の「激励会」も市内で開催。与党市議団とも政策協議を進めており、近く出馬会見を予定する。1期目の選挙で目玉として掲げた1万人規模のアリーナは昨年3月に落成し、これらの実績を前面に臨む。

 昨年10月の衆院選では沖縄3区で島尻安伊子氏の選対本部長を務めて自民党の議席を奪還し、市内の獲得票も前回選挙から伸ばした。1月の名護市長選でも再選を決めた渡具知武豊氏の応援に入るなど、直近の重要選挙でオール沖縄勢力を制してきた自公協力の流れを自身の選挙にもつなげたい考えだ。

 与党市議は「与党や東京と政策をすり合わせていき、実現できる政策を掲げる。実行力が強みだ」と話す。

 実績を強調する現職に対し、森山氏は「箱物整備」などが進んでも市民所得は県内ワースト3位にあり、「市民の暮らしの向上にはつながっていない」として政策論議を仕掛けたい考えだ。

 野党側は昨年中で候補者を決める予定だったが、「有力な対抗馬」と目された仲村未央県議のほか、市議3人や市の元部長らが固辞し、擁立が難航した。候補者選考委員会で事務局長を務める森山氏が「無投票で市民から投票機会を奪ってはならない」と1月末に出馬を引き受けた。

 森山氏は今月17日に市議を辞職した。選挙活動に専念し、26日には出馬会見を開くなど出遅れの挽回を急ぐ。

 野党市議は「短期決戦は現職有利とはいえ、現市政への不満を吸い上げる政策を掲げれば浸透できる」と話す。

 3月ごろには両陣営の政策発表が予定され、市議会2月定例会の閉会と共に、事実上の選挙戦が本格化する。 (島袋良太)

 桑江 朝千夫氏(くわえ・さちお) 1956年1月生まれ。市住吉出身。日大卒。市議3期、県議2期を経て、2014年3月から現職、2期目。桑江朝幸元沖縄市長の次男。

 森山 政和氏(もりやま・まさかず) 1948年12月生まれ。宜野座村出身。武蔵野音楽大卒。沖縄市立越来中、安慶田中、美東中の校長を経て10年から市議。出馬に伴い3期目途中で辞職。