台湾2・28事件から75年 沖縄県人被害の証文発見 遺族、賠償求め認定再申請 真実を求める会


社会
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2・28事件について新たに見つかった「証文」の写しを手にする青山惠昭さん=22日、那覇市内

 台湾の国民党政権が多くの住民を殺害した1947年の「2・28事件」について、県出身者の新たな被害認定につながる可能性がある文書が見つかった。事件で犠牲になったとされる仲嵩實さん=当時(29)=に関し、仲嵩さんを雇っていた台湾人が残した「証文」の写しで、兵士に銃殺されたとの内容が記されている。台湾政府は仲嵩さんの遺族からの賠償請求を一度却下しているが、遺族は今月、この証文を提出し再申請した。事件の発生から28日で75年を迎える。

 2・28事件で父を亡くし、2016年に外国人として初めて被害認定を受けた「台湾2・28事件真実を求める沖縄の会」代表世話人の青山惠昭さん(78)が研究者から証文の写しを入手し、仲嵩さんの遺族に連絡した。

 仲嵩さんの遺族は、同じく2・28事件で犠牲になったとされる県出身の石底加禰さん=当時(39)=の遺族と共に台湾政府に被害を申請していたが、17年にいずれも却下されていた。

 今回見つかった証文の写しでは、仲嵩さんを船長として雇っていた台湾人船主の鐘志寛さんが、仲嵩さんは1947年3月10日ごろに「中國軍ニ銃殺サレタトイフコトヲ聞イテタイソウ氣ノ毒ニ思ヒ…」などと記している。当時、仲嵩さんは石底さんと行動を共にしており、2人の遺族は今年2月、証文の写しを新たな証拠として台湾当局に提出し、被害認定を再度申請した。

 事件から75年を迎えるが、事件に巻き込まれ犠牲になった県出身者の被害認定や真相解明の動きはここ10年でやっと緒に就いたばかりだ。青山さんは「遺族も高齢化しており、早急に解明を進めないといけない」と話す。
 (當山幸都)