日米の騒音防止協定、米軍の「運用上必要」でほごに イタリアやドイツでは異なる対応


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在駐機に加え、外来機の飛来も相次ぐ米軍嘉手納基地。3万人を超える周辺住民が訴訟に参加し米軍機の夜間、早朝の飛行差し止めなどを求める=2010年4月(上空から撮影)

 米空軍嘉手納基地は航空機騒音の低減に関する司令官指示を定期的に内部に出している。だが、未明の飛行を抑制するために午前0時までの飛行を認めるなど、午後10時からの飛行を制限する日米の航空機騒音規制措置(騒音防止協定)を破ることを前提にしたものとなっている。

 同じ米軍駐留国のイタリアやドイツでは深夜・早朝に飛行する場合は受け入れ国の許可を必要としたり、具体的な条件を列挙したりしているが、在沖米軍は「運用上必要」と米側が判断すれば飛行できる。

 嘉手納基地が2020年に出した通達によると、C130輸送機、V22垂直離着陸輸送機、ヘリコプターは騒音防止協定で規制された午後10時を超える午前0時まで「運用できる」と明記している。飛行自体は禁止せず、午後10時以降は市街地上空の飛行をできるだけ避ける方式での着陸を求めているだけだ。

 また戦闘機も「できる限り」午前8時以降に離陸を始めるよう求めているが、戦闘機が早朝から離陸することが日常化している。

 沖縄防衛局の調査によると、嘉手納基地の午後10時から午前6時までの離着陸回数は、18年が1564回、19年が1220回、20年が1182回確認された。いずれの年も外来機がおよそ半数に上っている。

 米軍は同じく駐留するイタリアでは深夜・早朝の訓練飛行にはイタリア側の許可が必要な他、前日までに飛行計画をイタリア軍に提出している。ドイツでは深夜・早朝の飛行は「緊急性の高い任務」「遺体や急患の搬送」など具体的な条件下でのみ認めている。

 (島袋良太)