保守分裂につけ込まれる形となった中山義隆氏だが、推薦を得た自民、公明のバックアップも得ながら組織票を盤石に固め、“保守割れ”を最小限に食い止めた。
中山氏は経済団体などから多数の推薦を得るなど、現職の強みで先行した。ただ、優位に展開することで緩みもあり、序盤は集会に人が集まらない場面も目立った。
告示後は引き締めを図り、期日前投票の呼び掛けを徹底。コロナ禍で党中央の応援は前回ほどは見込めなかったが、要所で来島した大物国会議員と街頭に立ち支持を固めた。疲弊した市経済の立て直しを前面に、無党派層にも浸透した。
市議会野党に一部保守勢力も擁立に加わった砥板芳行氏だが、保革両支持層に支持拡大の課題を抱えた。
中山氏の側近として陸上自衛隊配備計画を推進してきた従来の立場に対し、革新支持層の反発は大きかった。一方で応援に入る議員など陣営の革新色が強かったことで、保守層への浸透も広がりに欠けた。市議らの組織的な運動量も鈍く、支持をまとめきれなかった。
(西銘研志郎)