【伊江】米統治下の伊江島で土地闘争に取り組んだ阿波根昌鴻さんが1955年から60年代後半にかけて、島の人々や当時の様子を撮影した「島の人々~戦後伊江島・阿波根昌鴻写真展~」(同実行委員会主催)の関連シンポジウムが19日、伊江島はにくすにホールで開かれた。復帰50年を前に、写真が物語る阿波根さんとの触れ合いや島の人々の暮らしについて語り合った。
写真の選定に協力した並里弘安さんは「60年前の知人が写っていた。これほど多くの人々の写真が残っていることに驚き、現場の苦しみや悩みを知ることができた」と話した。
2年前まで西小学校の教頭を務め、平和学習や創作劇に取り組んだ玉城睦子さんは「来場者から写真に写っている人を聞き取りしながら、懐かしい思い出話を聞くことができた。今の子どもたちが、祖父母たちの幼少期を振り返る良い機会にもなった」と語った。
米軍による強制的土地収用が実行された真謝区に在住し、阿波根さんと活動を共にした元村職員の安里正春さんは「アメリカ軍は地元の声を無視して土地を接収した。阿波根さんを中心に一丸となって運動を行い、命懸けの闘いだった」と振り返った。
琉球大の小屋敷琢己教授は「当時は貴重だった写真機を購入し、闘いのために撮影された写真の中にたくましく生きた島の人々の素顔が写し出されている。魅力あふれる写真や阿波根さんの行動が伊江島の宝、沖縄の宝になっている」と語った。
写真展の代表を務め、シンポジウムの進行を務めた写真家の比嘉豊光さんは「50年代の土地闘争の記録以外にも多くの島の人々が撮影されていたことは、これまで知られていなかった。沖縄写真史の原点でもあり貴重な資料だ」と話した。
(金城幸人通信員)