台湾2・28事件から75年 遺族「真実知りたい」、賠償請求に支援求め


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 台湾の国民党政権が多くの住民を殺害した1947年の「2・28事件」を巡り、事件で犠牲になったという県出身者の遺族が28日、県庁記者クラブで会見し、事件から75年が経過する中で、台湾政府に対し賠償請求を再申請した思いを語った。「人権と平和の心をつなぐために」。遺族は今も真実を求めている。

 会見には事件で犠牲になったという仲嵩實さん=当時(29)=と石底加禰(かね)さん=同(39)=の遺族と支援する「台湾2・28事件真実を求める沖縄の会」代表世話人の青山惠昭さん(78)らが出席した。

 与那国島出身の仲嵩さんと石底さんは、台湾の基隆港で故障した船の部品を取りに行って事件に巻き込まれた。遺族は過去にも賠償請求を申請したが、2017年に却下された。その後、仲嵩さんを雇っていた台湾人が残した「証文」の写しが19年に見つかり、兵士に銃殺されたとの内容が記されていた。遺族は今年2月14日、この証文を提出して再申請した。

 仲嵩さんの孫・當間ちえみさん(65)=那覇市、写真左=は「35歳の息子を見るたびにおじいちゃんはもっと若かったんだと思ってしまう。私たちの気持ちを自分の親、祖父だったらと思って考えてほしい」と支援を求めた。石底さんの三女・具志堅美智恵さん(80)=豊見城市、同右=は「死亡診断書ではマラリアで亡くなったとなっているが、墓にお骨は無い。皆さんの力を貸してほしい」と訴えた。
 (仲村良太)