公設市場隣のパラソル撤去に思うこと 伊佐尚記(那覇・南部班)


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written by 伊佐尚記(那覇・南部班)

 那覇市の牧志公設市場衣料部・雑貨部と水上店舗の間にある「パラソル通り」の、パラソル付きテーブルやいすが3月上旬に撤去される。パラソル通りと衣料部・雑貨部の土地は市が民間から借りている。衣料部・雑貨部閉鎖と借地契約終了に伴い、テーブルなどを撤去して元の状態に戻すことになった。

3月上旬に撤去されるパラソル通りのパラソル付きテーブルやいす=2月10日、那覇市牧志

 市としても撤去を基本に考えており、設置した平和通り商店街振興組合も撤去を要望した。テーブルで飲酒したり騒音を出したりする人がいて、周辺から苦情が寄せられていたためだ。

 取材を通して、パラソル通りでボランティアが生活困窮者に食料を配布していることを知った。その時に訪ねると、集まった人々の中にテーブルでお酒を飲むという人もいた。申し訳なさそうにしつつ「静かに飲んでいる。騒いだり汚したりするのは通りすがりの酔客だ」と釈明した。彼らを知る古着店の店主は「さみしいのよ」とかばった。

 私は飲酒に賛成できない。一方で「さみしさ」を抱えた人々の、周囲の迷惑にならない居場所ができなければ、根本的な解決にならないのではないか。通り会や住民の深刻な訴えも受け止め、街の課題を多角的に考えたい。

(那覇市担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。