普通科で快挙、全商協検定6種目で1級 南風原高の上原さん、源河さん 夢は商業科教員に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 【南風原】南風原高校普通科教養ビジネスコース3年の上原萌さんと源河鈴子(りこ)さんが本年度、「県内唯一」の偉業を成し遂げた。普通高校に通う2人は、商業の授業が専門高校の約3分の1というハンディを抱えながら、3年間で全国商業高等学校協会(全商協)主催の全9検定のうち、6種目で1級を獲得した。本年度、県内商業高校で6種目1級合格者はいないという。2人は、商業科の教員を目指し4月から県内大学で新たな一歩を踏み出す。

 中学時代は勉強が好きになれなかった2人。机に向かう習慣もなく、高校受験では苦労した。その経験が2人を変えた。上原さんは「高校に入った時、資格を取ろうと思った」。源河さんは2次募集で南風原高校に入学して「誰にも負けたくない」と強く思った。

 パソコン同好会で宮城和正教諭の指導の下、全商協主催の検定1級取得への挑戦が始まった。最初は難易度の低い3級から始めた。放課後は毎日3時間半、休みの日は2~4時間勉強したが、全て一発合格とはいかなかった。

 源河さんはビジネス情報1級で3度、不合格になった。「落ちた時はモチベーションが続かない。萌が先に(1級を)取っていて、支えてくれる人がいたからできた」。両親や兄の毎日の送迎や宮城教諭の指導も支えになった。

 「授業よりも分かりやすい」。源河さんは簿記を教えた時に友達に言われた言葉がうれしくて「生徒とコミュニケーションを取って、生徒の苦手をなくせるような先生になりたい」と考えるようになった。

 上原さんは3年になり「周りが(検定1級を)合格していくのを見て悔しくなった」。秋の検定では大学の願書提出に間に合わない。問題数をこなし、間違った箇所を確認するなど勉強方法を変え、7月までに3種目で1級を取得した。

 最難関は簿記実務検定1級だった。収益や仕入れなど、聞き慣れない用語を理解することから始まった。「周りに置いていかれそうで、くじけそうになった。でも友達と教え合って乗り越えられた」。苦手を克服した経験から、生徒の気持ちになって考えられる教員になりたいと思った。

 2人は在学中に簿記実務、情報処理プログラミング部門、情報処理ビジネス情報部門、珠算・電卓実務、ビジネス文書実務、商業経済の6種目で1級を取得した。

 4月からは大学生。源河さんは「教員になるために必要な知識を学べることを楽しみ」にしている。上原さんも「沖縄で教師になるから、大学で沖縄についていろいろ学びたい」と、期待に胸を膨らませた。

 2人を指導した宮城教諭は「それぞれの良さを生かし、生徒を思いやる先生になってほしい。これからもいろんなことに挑戦し続けてほしい」とエールを送った。
 (比嘉璃子)