那覇軍港訓練抗議、市議会が全会一致断念 修正協議が決裂


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 在沖米海兵隊による那覇港湾施設(那覇軍港)での訓練に抗議する那覇市議会の意見書案を巡り、全会一致の意見書・決議の可決はなくなった。地元議会が全会一致で反対の意思を示さないことで、県や那覇市が懸念する米軍機の飛来、訓練の常態化に影響を与える可能性もある。

 前回の議会運営委員会から自民は、市議会与党3会派(共産、ニライ、立憲民主・社大)が示した意見書案の文言に難色を示していた。共産は賛成多数での可決も辞さない構えだったが、複数会派から「全会一致が望ましい」という意見があり、持ち帰って再度議論することになった。

 だが、自民が3日に提案した文言修正は、軍港での訓練実施については否定しないものだった。これに対し共産やニライは「趣旨が異なる。もはや別の意見書だ」と早々に議論を打ち切った。

 自民会派の奥間亮幹事長は訓練容認の理由について「台湾有事などを想定すると、非戦闘員を助ける人道的訓練を否定できない」と強調。訓練が常態化する懸念については「必ずしも那覇軍港でないとだめなのかを日米両政府にはできる限り協議してほしい」とした。

 与党3会派の意見書と抗議決議案は、中立会派の一部も賛成しており可決の可能性が高い。野党の公明会派は8日の本会議までに態度を決めるが、公明市議は「(与党案に)元々反対ではない」としている。
 (伊佐尚記)