IT教室で巣立ち支援「児童園の子が学べる仕組みを」 沖縄電子の津嘉山さん発案


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
IT教室で学ぶ高校生ら=2月21日、沖縄市の美さと児童園

 【中部】電気通信関連の沖縄電子(宜野湾市、宮城啓一代表)が昨年12月から、沖縄市の美さと児童園(前川英伸園長)で、高校生15人を対象にボランティアでITについて学ぶ教室を開いている。取り組みのきっかけは、昨年入社した津嘉山智室(とむ)さん(26)の「児童園の子が学べる仕組みをつくりたい」との思いだ。

 「これからの社会で武器となるスキルって何だろう」。2月21日夜、講師の津嘉山さんが生徒らに問い掛けていた。昨年12月から始まった教室に続きこの日は2回目。久しぶりの対面に緊張もあったが、ゲームや雑談を通して徐々になじんでいった。21日は、社会人になっても重宝されるタイピングやエクセルの技術を学んだ。インターネット上のタイピングゲーム「寿司打」を活用したり、漫才コンクール「M―1グランプリ」の総合得点をエクセルで計算したりし、皆で楽しみながら技術力を向上させた。

 沖縄電子は、クラウドファンディングや自社の資金を元に購入したパソコン15台を生徒に贈呈した。4月から大学に進学する女子生徒は「うれしい。(津嘉山さんの教えは)学校で習っていないこともあり楽しい」と話した。男子生徒は「タイピングは苦手だけど、これから練習していきたい」と意気込んだ。

高校生にパソコン技術を教える津嘉山智室さん

 児童園出身者と一般の人との進学率に開きがあることを知り、教室を企画した津嘉山さん。初めての取り組みで生徒との接し方に不安もあったが、一人一人に話し掛け信頼を得ていった。「分からなかったことができる瞬間がうれしい」と手応えを語る。

 沖縄電子も社員がやりたい企画を支援する理念があるという。宮城代表は「パソコンは時間をかければ必ずできるようになる。社会に出ても自信につなげてほしい」と願った。教室は月に1回続けていく考えだ。

 生徒の様子を見守った美さと児童園の糸満英子さんは「すごく生き生きとしていた。職員以外の大人と触れ合うのも自立のために大事なこと。経験を糧に羽ばたいていってほしい」と述べた。

(金良孝矢)