那覇・高等部3年の有銘さん版画「やわらかな光」が全国優秀賞 特支学校文化祭


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有銘朱里さんの作品「やわらかな光」

 那覇特別支援学校高等部3年の有銘朱里さんはこのほど、全国特別支援学校文化祭の造形・美術部門に出品した版画「やわらかな光」で、優秀な作品に贈られるりそなグループ賞を受賞した。超低体重出生児で生まれ、脳性まひのため発語できない有銘さんは、表情で意思表示する。担任の平良美樹教諭と2人3脚で制作した作品は人々の心を温める。関係者から「おめでとう」と声を掛けられると、満面の笑みで喜びを表した。

 有銘さんは校内で拾った葉っぱに、平良教諭が用意した輪ゴムやビーズの感触を確認しながら版画の素材を選んだ。作品は黒と黄色のインクを重ね、複数枚刷り出して厳選した。全体的に淡い色合いだが、所々に黄色がちりばめられ、温かみが感じられる。葉っぱは葉脈も描かれ、立体的な仕上がりになっている。

 平良教諭は「素材を探したときは夏から秋への変わり目だった。有銘さんは柔らかな日差しや、気持ちの良い風を肌で感じ、作品に表現している」と説明。「楽しみながら、熱心に打ち込んでいた」と振り返った。

全国特別支援学校文化祭の造形・美術部門でりそなグループ賞を受賞した那覇特別支援学校高等部3年の有銘朱里さん(那覇特別支援学校提供)

 卒業を控える有銘さんにとって「最高の贈り物になった」と母の美香さんは語る。「学校が大好きだった娘が生き生きと過ごせたのは平良先生が正面から向き合ってくれたおかげ」とし、作品について「一目見たときに、外で自然の材料を集めたり、色使いに気を遣ったりしている姿を思い浮かべられて幸せな気持ちになった。家族で受賞を祝いたい」とたたえた。

 有銘さんの作品は、7月下旬に東京都で開催される全国高等学校総合文化祭に出品予定だ。

(名嘉一心)