「戦争ではなくジェノサイド」 ウクライナ出身の准教授が平和礼拝で訴え


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声を震わせながら怒りを語った、ウクライナ出身のポトリヤワ・ナタリヤ准教授=7日、沖縄キリスト教学院大学チャペル

 西原町の沖縄キリスト教学院大学チャペルで7日、ロシアのウクライナ侵略に反対する平和礼拝が緊急に行われた。教職員約50人が手を合わせ、旧約聖書を朗読し、祈りを込めた。礼拝の最後にはウクライナ出身の同大学准教授ポトリヤワ・ナタリヤさん(45)が登壇し「なぜ多くの命と私たちの歴史が奪われなければならないのか」と声を震わせ、「ウクライナの現状を知ってほしい」と涙をこらえながら訴えた。 

 ナタリヤさんは昨年4月、子どもと沖縄に移り住んだ。2月26日、母国に残る73歳の父親と連絡が取れなくなった。父の暮らすアパートは爆撃された空港の近く。6時間後に電話がつながり無事を確認できたが「何かあったんだと混乱して、声を聞くまでの間の記憶があまりない」という。現在は空港から離れた場所に避難している。

 「ウクライナ、今度帰ったとき、まだあるかな」。中学生の息子の言葉に「返す言葉が見つからなかった」と目に涙をためる。同級生の娘は、避難先の地下で子どもを出産した。「不安と怒り、そして私は何もできないのかという無気力感で、心が痛い。これは戦争ではなく、ジェノサイド(民族大量虐殺)だと思う」。ロシア軍は4日、ウクライナ南部のザポロジエ原発を攻撃した。「国民はチェルノブイリのトラウマを今も抱えている。爆撃できないよう領空を閉鎖してほしい。ウクライナで何が起こっているのか、フェイクニュースにだまされず、多くの人が声を上げてほしい」と訴えた。

 金永秀(キムヨンス)学長は礼拝で、「世界の政治的リーダーたちが人々の生命を守る道を優先し、あらゆる方面で平和的関係をつくり上げる努力をするように強く訴える」と緊急声明を発表した。 (嘉数陽)