「外に出たかった」苦しい学校生活…制度を活用し世界へ 研究に励む大学院生「自分の気持ち大事に」


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台湾留学時の大城沙織さん=2019年5月、台湾嘉義県の阿里山(大城さん提供)

 「いろんな人や制度に支えられて今があるんです」。そう語るのは、筑波大大学院博士前期課程で学ぶ大城沙織さん(24)=南城市佐敷出身=だ。中学2年の時に父が病気で急逝し、家庭に経済的な余裕はなかった。高校では成績を重視する空気になじめなかった。「学校が苦しくて、外の世界に出たかった」と振り返る。

 公的な制度を活用して「学校の外の世界」へ行こうと、「おきなわ国際協力人材育成事業」や「カケハシ・プロジェクト」を利用してラオスやロサンゼルスなどに滞在した。さまざまな人や文化と接するうちに、現地の人々がどんな生活をし、何を考え、どう世界を見ているのか知りたくなった。

 大学では民俗学を専攻、台湾に留学した際には順益原住民博物館でインターンも経験した。

 4月からは日本学術振興会の特別研究員として同大の博士後期課程に進む。地域の土地神などとして信仰される「土帝君」をテーマに研究を深める予定だ。

 「自分の気持ちを大事にしてアンテナを張れば、できることはたくさんある」と力強く語った。
 (嶋岡すみれ)