一輪の花を手に…魅了された高校生のまなざし 石井恵理菜(中部報道グループ)


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written by 石井恵理菜(中部報道グループ)

 昨年1人暮らしをするために引っ越した際、張り切って花瓶を三つ調達した。編集局経済部で農林水産を担当していた頃は、花の取材が多く、取材を通して花の魅力に引かれていた。取材先で花をいただいたり、花屋で購入したり、家には花が絶えない時期もあった。

3月上旬に撤去されるパラソル通りのパラソル付きテーブルやいす=2月10日、那覇市牧志

 だが1人暮らしをすると花を飾る機会が減った。家を空けることが多く、知らぬ間に枯らしてしまいそうなのだ。花瓶はほとんど日の目を見ていない。

 先日、花を即興で生ける「全国高校生花いけバトル」に出場した読谷高校生ペアを取材した。5分間で花を生け、作品の出来栄えを競う。用意された花や流木、葉物を自由に取り、直感で生けていく。最後までどんな作品が出来上がるか分からない。熱く、鮮やかな闘いに感動した。

 取材では2人が花を生けてくれた。華やかな作品と花の甘い香りに癒やされた。何よりも、真剣なまなざしで花と向き合う2人の姿に魅了された。花から「私を使ってほしい」と声が届くほど、2人は花のとりこだった。

 以前花の生産者から聞いた、「一輪の花を日頃から手に取ってほしい」という言葉を思い出した。県内はさまざまな花が見頃になる季節だ。担当する読谷村では、ユリが満開を迎える。一輪でもいい。この春は2人のように、花に癒やされたい。

(嘉手納町、読谷村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。