「納得していない」「被害増えた」普天間騒音訴訟の原告団 判決に憤り、控訴の意向


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判決内容について意見を述べる第2次普天間騒音訴訟の山城賢栄原告団長(左から3人目)と池田修弁護団長(同4人目)ら=10日午後、沖縄市農民研修センター(ジャン松元撮影)

 【中部】「航空機騒音による健康被害は、原告らの共通被害と認めることはできない」―。那覇地方裁判所沖縄支部の法廷で、足立堅太裁判長が判決理由を読み上げると、傍聴席の原告らは天を仰いだ。米軍普天間飛行場の騒音被害に対する救済を求める3千人余の裁判は、騒音被害による精神的苦痛は認めつつも、またも健康被害の訴えは退けられた。

 判決後の会見に臨んだ原告団らの表情は一様に硬かった。「低周波音などで心臓病を患う方や難聴の人が増えているはずだ」。山城賢栄原告団長は騒音による健康被害を強調した。これまで専門家を招いて講習会を開き、被害立証に努めたが、かなわなかった。

 また、裁判所が国に対して支払いを求めた1人当たりの賠償額は第1次訴訟と同水準で、原告団らが請求する額には及ばなかった。「騒音被害は増えているが、それに対する慰謝料は当初求めていた請求額より下がった」と憤る。

 原告は70~80代が占め、高齢化が進む。池田修弁護団長は「早期被害の回復のためにも、慰謝料請求に絞った」とし、早期救済への手だてを一定評価しつつも「低周波音の被害など、もう一度裁判所に検討してもらう」と述べた。

 傍聴した原告の棚原憲治さん(84)=宜野湾市大謝名=も「1次訴訟で騒音が改善されると期待したが、今も被害は変わらない。補償額を含め、前回と同じような判決で進展がない」とこぼした。

 原告団らは会見で「われわれは(判決に)納得していない」と口をそろえ、控訴する意向を示した。
 (石井恵理菜)