【識者談話】業界の技術力向上が課題 公共工事の利益、県外に「還流」 源河忠雄氏(県建設業協会専務理事)


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源河忠雄氏(県建設業協会専務理事)

 沖縄は「ザル経済」と評され、国が社会資本に投資した資金の大半を県外企業が持っていっていると言われるが、これは正確ではないと思う。

 当然、公共事業で整備された道路や橋などの社会インフラは沖縄に残っている。復帰からこの50年間で道路などの社会資本整備は圧倒的に変わった。ダムも整備され、近年断水はなくなった。生活の質は向上している。

 県外企業が受注してもJV(共同企業体)で県内企業を下請けにして、雇用や資材などを県内で調達する例も多い。「本土への環流」は受注総額ではなく、10%程度の利益だ。

 復帰当初は海洋博などの大型工事が相次いだが、県内企業の技術力はまだ育っておらず、県外企業に依存した面もある。今でも「WTO案件(世界貿易機関政府調達協定が適用される大型案件)」で、県内企業が元請けになるのは難しい。

 県外業者が工事を受注割合が高いのは、まだ県内企業の技術力がついていない事情もある。入札方式の課題もあるが、業界全体で技術力の向上に取り組まなければならない。