復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月13日「形がい化した文民統制」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月12日の琉球新報1面トップは、「〝形がい化した文民統制〟/自衛隊装備の沖縄輸送問題/〝処分〟避けられぬ/政府、またも窮地に」との見出しで、復帰後に配備される自衛隊の先遣隊の物資を「抜き打ち的」に沖縄に陸揚げしたことが、「国防会議決定を待たずに行われた『征服組の独走』」と問題になり、国会で追及されるとの記事が掲載されている。関連記事では官房長官の「行政運営上のミス」との会見記事や、空幕長が「〝いつでもやめる〟」との見出しで「配慮が足りなかった」と会見で述べたことを紹介している。

 復帰に伴う軍雇用員解雇問題を受けて全軍労がストを続けている問題について「全軍労問題で外務省に小委員会/外交折衝に乗り出す」との見出しで、間接雇用制への切り替えに向けた協議の入り口に入る流れになったと伝えている。

 復帰に伴うドル―円通貨切り替えの換算レート問題に関して「〝通貨〟で救済策検討/清算事務への財政援助も/山中総務長官」との見出しで、山中貞則総務長官が「360円での復帰前交換は困難だが、それに代わる措置を検討している」と述べたことを紹介している。

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。