復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月16日「批准書交換は県民無視/県民大会で抗議」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月16日の琉球新報1面トップは、「沖縄返還正式に決まる/日米代表 批准書交換調書に署名/5月15日待つばかり/米軍基地など問題山積」との見出しで、福田赳夫外相とマイヤー駐日米国大使の日本代表が首相観点で交換文書に署名して正式に沖縄返還協定が日米で締結されたことを報じている。

 一方で返還協定の批准文書交換に対し、地元沖縄では「批准書交換は県民無視/復帰協/県民大会開き抗議」との見出しで、那覇市与儀公園で開かれた抗議の県民総決起大会の様子を写真付きで伝えている。東京でも抗議集会が開かれたことを伝えるも記事もそのそばに掲載されている。

 2番手記事の左肩には「一週間スト延長/全軍労、中闘委で決定」「72時間ストに突入/軍港湾労」と、復帰に伴うさまざまな改変に抗うストの動向も連日にわたって伝えている。

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。