大浜さん、センバツ審判委員に「球児に負けない熱い思い」 公務員との二足のわらじ


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選抜大会に向け、興南高校野球部の紅白戦で審判を務め、感覚を確かめる大浜拓郎さん=12日、那覇市の同校

 兵庫県の甲子園球場で18日に開幕する第94回選抜高校野球大会の審判委員として県高野連審判部から大浜拓郎さん(44)=那覇市上下水道局職員=が派遣される。夢の舞台・甲子園に審判として立てることに胸を高鳴らせる。甲子園では1、2回戦で塁審を務める予定だ。

 審判委員は毎年2度ある甲子園大会へ、九州・沖縄の8県から順番に派遣される。沖縄からの選抜派遣は8年ぶりで、大浜さんは初めて。公務員として仕事に打ち込みながら審判活動にも熱心な大浜さんは、審判技術と人格が評価された。県高野連の多嘉山太審判部長は「普段やっている通り、思いっきりジャッジしてほしい」とエールを送る。

 「アウトー」。12日、那覇市の興南高校で行われた同校野球部の紅白戦で、塁審の大浜さんのコールが響いていた。新型コロナの影響で練習試合が少ない中、甲子園でジャッジするイメージを確かめた。グラウンドで真剣なまなざしの大浜さんだが、試合が終わると「一生懸命な球児の間近でジャッジができて幸せ」と温和な笑顔を見せる。

 八重山野球連盟会長を務めた祖父の故・石垣長夫さんの影響で、小中学校で野球に打ち込んだ。興南高に進学。野球を続けたかったが、進学コースだったため断念した。

 進んだ金沢工業大、同大学院では再びプレー。沖縄に戻り、臨時教員として工業高校で野球部に携わった頃から「審判の魅力にとりつかれた」。講習会に通い、30歳で公式戦デビューを果たし、今年で15年になる。平日の試合でも年休などを使って携わるほど「(野球が)好き」と語る。

 甲子園大会に向け「選手たちの熱い思いに負けない気持ちで、大きなジェスチャーとキビキビとした動きを心掛ける」と力を込める。「甲子園での経験を(県内の)選手、審判員にも伝えていきたい」。熱い思いで甲子園の舞台に臨み、県内の高校野球をさらに盛り上げることを誓う。
 (金良孝矢)