復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月17日「『核・演習』で調査を/瀬長氏らが追及」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月17日の琉球新報1面トップは、「対米請求権で法案提出へ/国に補償義務づけ/社党、要綱まとめる」との見出しで、社会党が、返還協定で沖縄県民のアメリカに対する請求権が放棄されたことを受けて、日本政府がその補償をするための立法を計画していることを報じている。

 隣接して、国会の動きを伝える記事で、「『核・演習』で調査を/外相〝大統領管轄〟と逃げる/瀬長氏らが追及」との見出しで、衆院沖縄・北方問題特別委員会で瀬長亀次郎氏と上原康助氏が政府を批判する様子を伝えている。伊江島での核摸擬爆弾投下演習を説明した瀬長氏が、政府に復帰後の核兵器の在り方について確認の必要性を求めたのに対し福田赳夫外相が「核撤去を大統領の専任事項できわめてむつかしい」と述べるにとどめている。

 復帰後の沖縄航空路線の運賃が値上げされることを、日本航空、全日本空輸が運輸省に新運賃を申請した記事として掲載している。値上げ後は沖縄―東京間は2万6700円になるという。

 復帰に伴うドル―円通貨切り替えに伴う1ドル=360円レート確保の沖縄からの要求に関連して、「来月末にも準備交渉/通貨問題/国際金融懇で協議」との見出しでOECD(経済協力開発機構)を想定した国際協議の枠組みで日本政府が交渉する構えであることを紹介している。

 

  

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。