お笑い×介護で地域に恩返し 芸人カシスオレンジ「故郷に錦を飾る」


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在籍する名護市東江のデイサービス希新の前で笑顔を見せる「カシスオレンジ」の仲村駿稀さん(左)と仲本新さん

 【宜野座】宜野座高校出身の人気お笑いコンビ「カシスオレンジ」(沖縄よしもと所属)が、堅調に実力をつけながら県内外で活動している。村福山区出身の仲村駿稀さん(31)と、名護市出身だが父親は村漢那区出身の仲本新さん(31)が宜野座高校で同級生として出会った。仲本さんが名護高校の1次試験で不合格となり、2次募集で受験した宜野座高校に合格したことが、出会いにつながったという「悲劇のエピソード」さえも笑いのネタにする。

 2012年、コンビ結成直後に挑戦した県内のお笑い賞コンテスト「笑琉門」で一般参加ながら、いきなり決勝に進出。その後、NSC(吉本総合芸能学院)沖縄校を経て現在、沖縄よしもとに在籍する。県内お笑い賞レースでは決勝進出の常連となり、昨年の全国M―1グランプリでは3回戦まで勝ち抜いた。今後はさらなる高みへと情熱をたぎらせている。

 仲村さんは高校時代に、ダウンタウンの歌番組で漫才の掛け合いのような司会を見てお笑いに目覚めた。一方の仲本さんがダウンタウンを知ったのは近年だという。

 活動はFMやんばるの金曜日のラジオ番組からミュージカル出演など幅広く、ガレッジセール・ゴリを座長とする「おきなわ新喜劇」でレギュラー出演者に抜てきされた。県外での公演にも参加する。2月の新作公演「学校へ行こう!エイサーの逆襲」では、新型コロナウイルスの感染防止から全体稽古は1、2回だったというが「あとは個人練習で乗り切った」とプロ魂もうかがわせる。

 共に社会福祉主事の資格を有し、名護市で仲本さんの父親、満博さんが経営する介護事業所「幸屋」「希新」で相談員や介護職としても活躍する。「沖縄で唯一」のお笑い芸人が在籍する特色あるデイサービスとして市内でも話題となり、持ち前の「プロの面白さ」で利用者を盛り上げている。

 出身地の宜野座村ではイベントの司会なども務める。「県内各地はもちろん、育ててくれた宜野座村に錦を飾るべく、お笑いを通じて仕事やボランティア営業で恩返しをしていきたい」と抱負を語った。(池辺賢児通信員)