琉球王国の次期国王の邸宅「中城御殿」、2026年度の公開目指す 首里城正殿と同時期


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 県は16日、首里城周辺にあった中城御殿(なかぐしくうどぅん)の復元や跡地整備について検討する有識者委員会(田名真之委員長)を那覇市内で開き、2022年度以降の具体的な整備スケジュールを示した。一部区画は、首里城正殿の復元工事が完了する26年度の完成・公開を目指す。県が本年度内に改定する「中城御殿跡地整備基本計画」案の中で示した。

 中城御殿は琉球王国の次期国王となる王位継承者が暮らした邸宅で、1945年の沖縄戦で破壊された。新たな整備計画案で県は、御殿跡地を(1)上之御殿エリア(2)御内原エリア・表御殿西側エリア(3)表御殿東側エリア―の3つに区分した。22年度は上之御殿エリアの設計と、中城御殿跡地周辺の松崎馬場や龍潭周辺の整備事業に着手する。

 時期は調整中だが御内原・表御殿西側エリアの設計作業も順次開始し、いずれも26年度内の工事完了を目指す。番所や御所院などの建物や琉球庭園を復元する表御殿東側エリアの本体工事は27年度以降となる。

 田名委員長は計画改定で展示収蔵機能、防災・防火体制の強化が期待できると評価し「首里城公園の一体的利用と魅力向上も図ることができる」と述べた。

 中城御殿について、県は復元へ向け、10~14年度に中城御殿跡地整備基本計画を策定したが、発掘調査などが長引き事業は停滞していた。19年10月の首里城火災を受け、有事のリスク分散のため首里城で展示・収蔵していたオリジナル美術工芸品などを城郭外で所蔵する必要性が出てきたほか、施設の防災・防火対策強化の観点から計画の見直しを進めている。
 (当銘千絵)