スタミナ強化で粘り強さ発揮、スピード感の維持を追求 コラソン2021-22シーズン総括


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 日本ハンドボールリーグ(JHL)の2021―22レギュラーシーズンが13日、終了した。男子の琉球コラソンは通算成績5勝14敗1分けで、順位は11チーム中9位だった。低迷が続く中、今季も躍進とまではならなかったが、勝ち数は前季に比べ一つ増え、順位も10位から一つ上がった。今季から指揮を執る黄慶泳監督の下で、スタミナ強化を図り終始粘り強さを発揮。スピード感を最後まで維持する戦い方を目指した黄監督の戦術理解が徐々に浸透し、今一歩という試合は多かった。もがき続けたチームの戦いぶりを振り返る。

琉球コラソンの今季最終戦でフル出場し、チームの勝利に貢献してきた村田龍=5日、那覇市の県立武道館アリーナ(ジャン松元撮影)

■経験値不足

 新たな指揮官が求めたのは攻守の切り替えの速さだ。速攻の機会を狙う積極的で足を動かすハードな守りは、横一線を軸にしつつ、中央右側2枚目の村田龍が豊富な運動量でパスの出どころをつぶす役を担った。勝負どころで新人の依田純真が反対側で同じように圧力を掛けた。中央の松信亮平と峰岸勁志郎も縦、横へと連動し、ターンオーバーからの速攻は前季よりも格段に増えた。攻撃ミスにも素早い切り替えによる防御で最少失点を狙った。

 前季は前半だけで試合を決められることも多かったが、今季は前半で崩れることが減り、1点差勝負に持ち込んだ展開も多かった。しかし後半は立ち上がりで崩れた。この課題を改善できても1~2点差を争う勝負どころのゲームコントロールや決定力で相手に上回られ、接戦の経験値不足があらわに。低迷が続き“負け癖”からなかなか抜け出せなかった。

■加速する世代交代

 今季は若手の起用が目を引いた。前季終盤から主力に入った村田がバックポジションで全試合に出場。4年目の佐藤草太、依田が出場時間を増やし、要所で得点源に。司令塔の東江太輝、ミドルが持ち味の石川出に頼りがちだった攻撃の選択肢に幅が広がった。

 当たり負けない村田がライトバックを定位置にセンターの東江らと連係することで相手を引き寄せ、右サイド美並省吾の展開も効果的に決まった。フォールド得点では東江100点に続き、村田が95点を挙げリーグトップ10入り。美並も69点と続き右側での攻めで強さを発揮した。

 若手主体で今季リーグ1位の豊田合成に挑んだ試合では依田が11得点と格上相手に結果を残した。レフトバック側に入ることが多かった佐藤も徐々に調子を上げ、アウトサイドへのカットインや東江に負けないサイドスローシュートが光った。課題の左側の展開が後半は活性化。守備の要として2年目の左サイド峰岸も全試合に出場し、攻守で安定感を見せた。

■負け癖脱却

 試合のコントロール力は若手に不足感があった一方、爆発力はあった。最終戦の北陸電力との対戦は、後半の立ち上がりはベテランと若手が試合をつくって、中盤は若手主体で勢い付けて突き放し、最後はベテランが戻って締めた。黄監督は「理想的な勝ち方」と評価した。来季はさらに世代交代が進む。東江は「この1年作り上げたものをいかに継続するか。引退メンバーもいる中で誰が台頭してくるか。勝ち切るには若手が出ても点が途切れない時間帯が必要になる」と課題を整理した。村田も負け癖脱却に「勝っていくしかない」とさらなる成長を掲げた。

 今季限りで長年チームを支えたベテラン松信とGK内田武志が引退し、黄監督の退団も決まった。来季は新監督の下で再びチームを作り上げることから始まる。チーム浮上には若手のより一層の飛躍が鍵を握りそうだ。
 (謝花史哲)