復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月18日「普天間のKC130機/復帰後は岩国へ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月18日の琉球新報1面トップは、「国防会議、予算(衆院)通過後に/自衛隊配備遅れる/先遣隊は二百人縮小」との見出しで、復帰後の沖縄への自衛隊配備計画が見直されることを伝えている。関連記事で衆院沖縄・北方問題特別委員会で防衛庁の防衛局長が、当初計画よりも1-2カ月延期する見通しを示したことも報じている。

 自衛隊関連では、陸上自衛隊が熊本―那覇間に専用電話線を設置して既に2月から使用を始めていることに地元から反発の声が上がっていることに関連して「申請、航空自衛隊も/公社、全電通に回答〝撤去は情勢みて〟」との見出しで、空自も福岡―那覇間に回線設置を申請していたと記事を掲載している。琉球電電公社と組合との団交の場で明らかにされた内容を伝えている。

 復帰に伴う米軍兵力の改変に関連しては「普天間のKC130機、復帰後は岩国へ/外相、〝玉突き移駐〟認める」との見出しで、米軍の那覇空港にあった米海軍の対潜哨戒機P3が普天間飛行場に移駐するのに伴って、普天間の空中給油機KC130が岩国基地に「玉突き移駐」する米軍の方針について福田赳夫外相が答弁で受け入れを示唆したと報じている。

 近づく復帰の日程に向けて琉球政府が記念事業などの日程を決めたことを報じる記事では「『反戦・平和』かみしめ/行政府・復帰記念行事の日程決める/報告慰霊祭や憲法講演も」との見出しで報じている。

 このほか、西表島の資源開発に関連して「住友金属鉱山・古見氏/西表銅山の開発へ/5月から本格試掘開始」との見出しで伝えている。記事では「西表島は銅をはじおめ金、銀、ヒスイなど巨大な鉱床が横たわっている〝眠れる宝庫〟として日米の大手企業が関心を寄せている」と記し、西表島の「古見銅山」の試掘で「企業ベースにのるかどうか試掘結果が注目される」と期待を寄せている。

 

 

 

  

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。