「世界の子どもたちを救いたい」ハーバード大学院に合格したシュマックさん 母が沖縄出身で米国育ち


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直美安里シュマックさん(中央)と祖父の誠晁さん、祖母の信子さん=3日、北中城村

 母親が沖縄出身で米国育ちの、直美安里シュマックさん(23)=北中城村=はこのほど、ハーバード大学公衆衛生大学院に合格した。ミネソタ大学を卒業し、2021年10月から沖縄の祖父母と暮らしている。9月にハーバード大大学院に入学するが、現在はOIST(沖縄科学技術大学院大学)でインターンシップを受けるなど、日々新しいことに挑戦し、将来は世界の子どもたちを救うために働きたいと語る。

 米国で生まれたシュマックさんにとって沖縄はいつも心の中にあった。「母は沖縄が好きとよく言っていた。故郷の話を聞くと自分もウチナーンチュだと思うことができた」

 育ったミネソタには県人会があり、物心つく前から沖縄の雰囲気を感じていた。ほぼ毎年、夏になると家族で沖縄の祖父母を訪ねた。「アメリカでは親戚との関係は薄く、沖縄に来るとたくさんの家族に歓迎されてうれしかった」と振り返る。好きな料理はチャンプルーと答えるほど沖縄が好きで、幼い頃は帰国が迫ると航空券を破ろうとすることもあったという。

 小学5年の春、食欲を落とすなどシュマックさんの異変に訪米中だった祖母の信子さん(81)が気付き、病院に行くと腹部に腫瘍があることが判明した。その夏、手術のため沖縄に行くことができないシュマックさんの元へ、親戚一同から千羽鶴が届いた。「手術は怖かった。沖縄の家族が応援してくれることを実感し、気が楽になった」とシュマックさんは当時の心境を語った。

 手術を受けたことで、シュマックさんは子どもを守る仕事がしたいと思うようになった。「自分が千羽鶴に元気づけられたように、助けを必要としている子どもを救いたい」と目標を定める。

 祖父の誠晁(のぶとも)さん(85)は「アメリカでも世界のどこに行っても応援している。将来は沖縄のために経験を持ち帰ってきてほしい」と目を細めた。自分の夢と期待を背負い、前を見据えるシュマックさんは「故郷であり、家族のいる沖縄に恩返しできるように成長したい」と笑顔を見せた。
 (名嘉一心)