ハンド女子テラス、悔しさと光と…得点力で苦しんだ参入初シーズン


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
ホームでのソニー戦でシュートを狙う高卒1年目の樋口怜於奈(中央)。今季53得点とポイントゲッターとして貢献した=2月11日、那覇市の県立武道館(又吉康秀撮影)

 日本ハンドボールリーグ(JHL)女子に今季初参入したザ・テラスホテルズは10日に名護市の21世紀の森体育館で行われたHC名古屋戦でシーズン1年目を終えた。通算成績は1勝17敗。10チーム中10位。開幕約1カ月前に、昨季まで男子の琉球コラソンで指揮を執った東長濱秀作氏を監督に迎え、最低限の目標としていた1勝はつかみ取ることができた。試行錯誤を繰り返しながら走り抜けたテラスの今季を振り返る。

■守備に手応え

 開幕戦は飛騨高山を相手に13―31と厳しい船出となった。初戦の緊張感で「力の半分も出せなかった」(東長濱監督)が、3戦目でリーグ7連覇中の北国銀行を26点に抑えた。次のHC名古屋戦は19―20と惜敗するなど2戦目以降は強化してきた守りで力を発揮し始め、リーグで戦える手応えをつかんだ。リーグ10年目で経験豊富なGK田口舞の好守もチームの防御力を下支えした。

 一方で攻撃面では明らかに経験値が不足していた。戦術をチームに浸透させることにも時間がかかる状況で、勝ちにつなげる得点力が大きな課題となった。

 得点力を上げるために東長濱監督は、攻撃ターンでGKを下げてコートプレーヤーを増やす7人攻撃にも打って出た。ゴールが無人となるリスクを抱えるが、それでも前半戦は数的有利の状況をつくり出して選手たちにシュート意識を高めてもらうことと、得点感覚をつかんでもらうことを選択した。

 3戦目の北国銀行以降、7人攻撃を多用し、接戦に持ち込む試合もあったが、やはりリスクが重く響き、前半最終戦のイズミ戦は20―42の大敗を喫した。

■念願の1勝

 2カ月余り期間が空いての後半戦。北国には敗れたが、次に対戦した飛騨高山から念願の初白星を挙げる。

 後半戦では一転、7人攻撃を控え、速攻につなげるスピード力の強化を意識してきた練習が実を結んだ。終始、主導権を握り、記念すべき初勝利のスコアは24―19。東長濱秀作監督も「殻を破った」と選手たちをたたえた。

 ただ、これ以降は勝ちに恵まれず。司令塔の坂本朱里がけがで途中離脱したこともあり、選手繰りに苦しみ2勝目は遠かった。

 それでも全60分間のうちで点を取り合う時間帯を徐々につくり出し、確かな成長を刻むことはできた。

 高卒ルーキー19歳の樋口怜於奈や上地涼奈はゴールを狙う姿勢を強くし、坂本の今季通算53得点に続き、樋口が52得点と飛躍した。上地も後半にかけて出場機会を増やし35点まで伸ばした。

 リーグ歴のあるバックの江藤美佳は右サイドに多く入り37点を挙げて得点源となった。

 課題は山積みだが、東長濱監督は「もう一踏ん張りしたら勝てるのではないかという試合も多かった」と評価し、着実に一歩は踏み出したとの認識だ。

 中山朋華主将も「試合経験が本当にない中で少しずつ戦い方が分かってきた。次こそはホーム戦で勝っていけるようにしたい」と来季へ気持ちを切り替える。悔しい最下位に終わったが、ここからはい上がっていけるか注目される。
 (謝花史哲)