復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月20日「防衛庁、基地再編に専門班」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月20日の琉球新報1面トップは、復帰後に沖縄だけを対象にした政策金融公庫を設立するための沖縄金融公庫法案を審議する国会がスタートすることを報じている。見出しは「あすから審議開始/沖縄金融公庫法案/〝通貨対策〟で特別融資も/企業へのテコ入れを/野党政府に増ワク要求」と掲げている。

 隣接した記事は「基地再編に専門班/江崎長官が検討を指示/〝整理縮小、米と折衝〟」との見出しで、防衛庁が在日米軍基地の「整理縮小」を進めるためのプロジェクトチーム設置に着手する方針を伝えている。記事中では「すでに〝反戦感情〟の強い沖縄では革新勢力を中心に基地撤去闘争が展開され、また本土でも各地で基地闘争が激化するきざしをみせている」と記している。

 さらに沖縄に限らず全国の在日米軍も含めて「防衛庁としては、在日米軍基地は日米安保条約に基づいて再提供する義務を否定しないが、米軍撤収後も依然既得権として確保している基地や都市部にある基地などについては周辺の住民感情も配慮し、米側と積極的に折衝を進め、整理縮小していく考えだ」との防衛庁の狙いを紹介している。

 海洋博に関連して、通産省の準備室の予算措置について紹介している。「10億円、次年度予算に要求/用地取得は起債で」との見出しで報じている。

 

 ※21日付朝刊は休刊です。

 

 

 

  

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。