ロシア料理店への嫌がらせ モバイルプリンスの知っとくto得トーク[251]


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モバイルプリンス

 

先月24日、ロシア軍がウクライナへ侵攻して以降、ロシア政府を非難する声、ウクライナを応援する声が集まっています。一方、残念なことに日本国内のロシア関連のお店への嫌がらせも多数報告されています。

誹ぼう中傷・侮辱的な書き込みや、理不尽な低評価、さらに東京都内のロシア食品店では看板が破壊されるなどの被害も出ています。「ロシア政府」に対する批判は理解できますが、「ロシア関連のお店」「在日ロシア人」への嫌がらせ行為は的外れです。

「適当に理由をつけて敵と見なした人を攻撃する」という姿勢の延長線上に侵攻や戦争が発生するのだと思います。

 

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人種や民族、宗教など、ある特定の属性の人たちをひとくくりにした偏見や憎悪が元で発生する事件を「ヘイトクライム」【※1】と呼びます。

今回のロシア関連のお店への誹ぼう中傷・破壊行為もヘイトクライムの一種です。悲しいことに、ヘイトクライムは私たちの社会の至る所で見られ、ターゲットになりやすい属性の人はおびえて暮らすことになってしまいます。

 

※1 ヘイトクライム … 新型コロナウイルスが世界で流行し始めた2020年、欧米ではアジア人に対するヘイトクライムが多数発生しました。日本においても、北朝鮮がミサイルを発射したり、韓国との関係が悪くなると差別的な書き込みがネット上にあふれ、在日コリアンに対するヘイトクライムが発生するなどしています。

 

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「○○人はこんな性格だ」という思い込みが偏見を生み、エスカレートすることでヘイトクライムへとつながります。

特にSNSでは自分と近い考えの人たちで交流しやすくなる仕組みがあるため、特定の属性の人たちへの偏見が高まりやすくなっています。

「無関係なロシアのお店が攻撃されていてかわいそうだ」と思ったら、同じようなことが近くで発生していないか、あるいは目にしたことはないか、自分の中にヘイトクライムの「種」がないか今一度考えてみましょう。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/