琉球史の舞台をオンラインで「街歩き」 誘客の呼び水に 沖縄市観光協会


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オンラインツアーのノウハウを学ぶリモート講座の参加者=2月18日、沖縄市観光物産振興協会事務所

 【沖縄】新型コロナ禍で観光客が減少している中、沖縄市観光物産振興協会は初めてオンラインツアーを企画している。同時に街歩きコースにかつてヤマモモの一大産地として知られた山内地域のコースを新規に商品化する取り組みを進めている。ゴールデンウイークの5月の実施を目指す。

 オンラインツアーは現在も街歩きの人気コースの一つ「越来グスク(城)コース」と知花グスクを組み合わせたもの。認知度ではまだ低い知花グスクは、琉球史の象徴的な動乱である勝連城主の阿麻和利の乱で、阿麻和利を王府の総大将として討伐した鬼大城こと大城賢雄の自害の地。オンラインツアーでその人物像も浮き彫りにし、王朝史に関わる両グスクをドラマチックに仕立てる。

 初の企画に当たって協会は制作の仕組みなどノウハウを学ぶ実践講座を2月に東京の専門家とオンラインで結んで開催し、協会の認定ガイドも参加した。

 新規の「山内コース」は1960年代までヤマモモの一大産地として知られていたばかりでなく、山内集落の始祖として尊崇されている王朝の三司官・山内昌信の生誕地で、民謡「越来節」で越来グスクとの関係性があり、史跡名所も多く歴史文化が豊かな地域。ガイドの現地研修も行っており魅力のコースとして期待される。

 音楽の街、エイサーの街、チャンプルー文化の発祥地などコザ時代の異国情緒を残し、また基地を抱え“沖縄の縮図”ともいわれ、県内でも特異な表情を持つ沖縄市。協会の観光誘客プロモーション事業スタッフは「旅の魅力、満足度は実際に現地に足を運ばなければ得られない。オンラインツアーを誘客の呼び水のツールとして情報を発信、活用していきたい」と実施に向け取り組みを加速している。
 (岸本健通信員)