復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月23日「尖閣、近く米国に厳重抗議」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月23日の琉球新報1面トップは、「尖閣問題 近く米国に厳重抗議/改めて意思表明へ/福田外相 川村氏の追及に答弁」との見出しで、尖閣諸島の領有権について福田赳夫外相が「米国政府の態度は不満である。近く米政府に抗議したい」と参院沖縄・北方特別委員会で答弁した様子を紹介している。沖縄返還協定の調印時に「施政権は日本に返還するが、尖閣列島の主権については関与しない」との見解を示していた。委員会で質問した川村清一氏(社会)が「サンフランスシスコ平和条約により沖縄の施政権を行使し、尖閣列島の基地を施政権返還後も維持する米国が、領土主権は当事者で話し合えというのは納得できない」と外相の見解をただし、福田外相も「同意見」と応じてる。

 隣の関連記事では「『日本領と認めよ』外務省が米側と交渉」の見出しで、外務省としてもこの問題に対して動き出していることを明らかにしたと伝えている。先覚の領有権が日本にあることを認めるよう駐米大使館や国連代表部を通じて米国と交渉していると外務省が明らかにしたと報じている。

 前日に全軍労が無期限ストを決定したことに関連して、米軍側が非公式団交で「124人の解雇撤回」との方針を回答してきたとの記事を掲載している。関連記事では「きょう屋良ランパート会談」と、屋良朝苗主席がランパート高等弁務官と会談して事態収拾に努力するよう要請する動きを伝えている。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。