塩を求めた歴史「まーすけーい歌」音楽紙芝居に 動画を配信 読谷・長浜伝承


社会
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音楽紙芝居「くもこちゃん まーすけーい歌」を収録で読み上げる茂木淳子さん=7日、沖縄市のプラザハウス

 【読谷】読谷村長浜に伝わる「まーすけーい歌」(塩替え歌)を後世に残そうと、県立芸術大学音楽学部の向井大策准教授と呉屋淳子准教授らによるプロジェクト「地域芸能と歩む」がこのほど、まーすけーい歌を基にした音楽紙芝居「くもこちゃん まーすけーい歌」を企画・制作した。7日に沖縄市のプラザハウスで収録が行われた。動画をユーチューブで限定配信している。

 まーすけーい歌は、1700~1800年代に歌われたとされている。長浜の若い女性たちが、まきや農作物を持って塩田のある現沖縄市泡瀬まで片道20キロの道のりを歩き、まきや農作物と塩を物々交換する道行きの様子を歌う。

 今回制作された音楽紙芝居は、雲の形をした主人公「くもこちゃん」が、農作物と塩を交換する塩替えを終えて泡瀬から長浜まで帰る女性たちを空から追いかける物語。「音の台所」のペンネームで活動するイラストレーター茂木淳子さんが構成や描画、語りを担当した。ジャズピアニストのサトウユウ子さんがピアノを奏でる。

 くもこちゃんが通る道のりには、今はない「胡屋馬場」や屋良の四本松、米軍嘉手納基地に接収された集落「国直(くになお)」などが登場する。くもこちゃんは、道中で出会う生き物たちと語り合いながら、長浜まで帰る女性たちの足跡をたどる。

 県立芸大のプロジェクトでは、この歌の調査研究を3年にわたって行った。呉屋准教授は「歌を通じて忘れられた記憶や風景を知ることができる。泡瀬の埋め立てなど環境の問題も見えてくる」とし、伝統芸能と自然のつながりを話す。

 茂木さんは「次世代に受け継がれる可能性があって面白い歌だ。多くの世代に見てほしい」と語った。
 動画を視聴するには、次のQRコードから申し込みが必要。 (石井恵理菜)

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