元里親委託「難しい」 県審査部会答申 県、理由明かさず


社会
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 生後2カ月から養育していた児童(5)の里親委託を児童相談所に1月5日付で解除された那覇市の小橋川学さん(56)と久美子さん(55)夫妻が、児童の一時保護の委託先を夫妻にするよう求めている事案を巡り、児童の援助方針を審議していた県社会福祉審議会の審査部会が「夫妻への一時保護委託は難しい」と判断したことが22日、分かった。審査部会は県側に答申したが、県は内容を明らかにしておらず、判断の詳しい理由は分かっていない。児相は今後、答申を踏まえ、児童の援助方針を決定する。

児童一時保護先

 審議を担ったのは県社会福祉審の児童福祉専門分科会審査部会。県青少年・子ども家庭課が22日、審査部会(渡邊浩樹部会長)のコメントを発表した。同課によると、10日付で審査部会が県側に答申した。同課は答申の詳しい内容について「個人情報にかかる」として明らかにしていない。児童を実親の元に戻すかどうかについて「審査部会から意見をいただいているが、個別の内容は回答できない」と述べた。

 部会コメントの発表が22日になったことについて、同課の担当者は「答申やコメントの内容を内部で確認し、調整していた」と説明した。コメントでは、「養育里親への支援介入や当事者間の関係改善に向けたソーシャルワーク的な対応の不足についての課題を真摯(しんし)に受け止め、今後のケースワークに生かす必要がある」と指摘。今後、児童が実親と関係構築するにあたり「児相とともに元里親を含めた関係者が支援していくことが児童のためにも必要」とした。

 夫妻の里親委託については、児相が委託を解除する際、事前に審議会に諮っていないことも判明している。児童は1月4日、夫妻から児相に引き渡された。