首里城再建、「継承基金」で職人育成 沖縄県が4月に設置 ふるさと納税での寄付も検討


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首里城正殿(資料写真)

 首里城の再建に向け、県が設置を目指す「県首里城歴史文化継承基金」に関し、県は23日、寄せられた寄付金を宮大工や木・石彫刻の技術士、塗装、彩色、瓦ぶきに関する職人の育成に向けた体験講座や研修の費用に充てる方針を明らかにした。同日の県議会総務企画委員会(又吉清義委員長)で、県特命推進課の真鳥裕茂課長らが各委員に説明した。

 同基金は、首里城郭内施設の復元などに活用する目的で設置していた「首里城復興基金」に代わり、4月1日から設置する。首里城を中核とした周辺のまちづくり計画「新・首里杜(すいむい)構想」に基づき、中城御殿や円覚寺などの整備費用にも活用される。県は指定口座への振り込みや、ふるさと納税で新たな基金への寄付を受け付ける考えで、目標額や人材育成に関わる支援人数の目標数などは「設定していない」とした。

 県によると、現在県内には宮大工は3人程度いる。木彫刻の職人は10人程度いるが、文化財レベルの彫刻を手がけられる職人は高齢の1人しかいないという。真鳥課長は「県立芸大にカリキュラムを一部導入し、現場見学や体験実習を行う。既卒者に向けては県工芸振興センターで研修を取り入れる。経験者に向けては沖縄美ら島財団で実践的な研修を行いたい」と述べた。同日の同委員会は同基金設置条例に関する議案など15件を可決した。
 (梅田正覚)