米軍コロナ検査「緩和命令書」に外務省の書簡添付 国会で関与追及


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外務省

 【東京】昨年9月に米軍が新型コロナウイルス感染対策を緩和し、日本側へ通知した時期を巡って、日米双方で認識の食い違いが発生している問題で、米側が検査を緩和する命令書に外務省日米地位協定室長のサインが入った書簡を添付していたことが23日、明らかとなった。衆院外務委員会で穀田恵二衆院議員(共産)が明らかにした。穀田氏は「出国前検査を免除した根拠になったのではないか」として、文書の作成経緯など事実関係の調査を求めた。

 日本側の書簡はリッキー・ラップ在日米軍司令官が、昨年9月に公式のホームページに検査緩和の命令書を公開していた。在日米軍の検査緩和後に、県内では基地の外でも新型コロナの感染者数が爆発的に増え、米軍からの「染みだし」が指摘されていた。

在日米軍司令官の命令書(左)と日米地位協定室長の入国許可に関するものとされる書簡=23日、東京

 穀田氏の指摘に対し、林芳正外相は米軍の検査緩和を確認したのは「昨年12月24日」と答弁した。これに対して、穀田氏は昨年9月3日時点で、命令書が公開されているため「外務省が昨年12月になるまで(検査の緩和を)知らなかったのはあり得ない」と追及した。

 米軍司令官の命令書に添付された書簡は、外務省の川埜周日米地位協定室長(当時)が2020年4月、日本への入国を定めた日米地位協定9条に基づき作成されたもの。日本に入国した在日米軍関係者に対して公共交通での米軍施設への移動を禁止しているほか、14日間の行動制限を課している以外は、上陸を認める内容となっている。

 穀田氏らによると、書簡が作成された20年4月以降に外務省が感染対策を強化、更新した形跡はない。穀田氏はこの書簡を引き継ぎ「出国前検査を免除した根拠になったのではないか」と強く指摘した。林外相は「どういった文書であるかは確認させていただく」と述べた。外務省日米地位協定課は琉球新報の取材に、米国のコロナ対応の緩和を確認した時期について「12月24日ということに変わりはない」と従来の見解を繰り返した。
 (斎藤学、安里洋輔)