復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月26日「『尖閣』は放棄せず/蒋総統、国民大会で宣言」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月26日の琉球新報1面トップは、「一両日中に解決を/上原氏、全軍労ストで政府追及/米側、歩み寄り示す/高度の政治判断必要」との見出しで、復帰に伴う大量解雇の撤回などを求めて全軍労が無期限ストを続けている件について、沖縄出身の上原康助衆院議員(社会)が政府を追及する様子を伝えている。

 2番手の左肩には「『尖閣』は放棄せず/蒋総統、国民大会で宣言」と、台湾の蒋介石総統が尖閣諸島の帰属について「中華民国の領土に憲法の規制に照らし国民大会の決議を得なければ変更出来ないことを声明する。尖閣列島は中華民国の領土であり、わが中華民国は絶対にこれを放棄しない」と述べた様子を紹介している。隣接した記事としては「在沖米軍が国府軍と演習」との見出しで、在沖米軍の特別機動部隊が台湾の軍との合同演習に参加していることも伝えている。

 さらに日本学術会議が沖縄問題小委員会を設置することを決めたことを紹介する記事も掲載している。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。