復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月27日「自衛隊配備、復帰前の受け入れ準備断念」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月27日の琉球新報1面トップは、「国会一カ月の会期延長も/対決法案に強硬論/自民、首相退陣からみ複雑」との見出しで、予算案が衆院通過した後の国会審議の行方を伝えている。台湾の帰属の政府答弁の問題や4次防(第4次防衛力整備計画)の内容を予算案で先取りした問題などで国会日程が大幅に遅れていて、佐藤栄作首相の退陣時期との兼ね合いで国会会期の延長も取りざたされていると記している。関連して「佐藤首相引退、十月か/田中氏が発言」と首相引退の時期についての記事も載せている。

 国会の行方に関連して、隣接の記事では「沖縄三法案にあせり/審議は大幅に遅れる」との見出しで、前年の沖縄国会から継続審議となっている沖縄開発庁法案と沖縄金融公庫法案、防衛関係適用法案の3法案の審議の行方についての記事を掲載している。

 左肩位置の2番手記事には「自衛隊配備/復帰前の受け入れ準備断念/本体は二カ月遅れる」との見出しで、復帰に伴う自衛隊の沖縄配備計画が4月に正式決定する方針を伝えている。記事では「政府としては現地の住民感情を考慮、部隊配備の受け入れ体制整備の本格的作業を五月十五日の返還日以降に持ち越すハラを固めており、一部で久保・カーチス取り決め通り防衛任務につけない恐れも出ている」「特に政府は、復帰日を間近に控えての自衛隊資材強行輸送問題が、反自衛隊感情の根強い沖縄県民を刺激したことを重視、配備計画の取り扱いについて慎重な態度で臨んだ」と記している。

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。