復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月28日「久米島住民殺害悔いてない〝鹿山発言〟きびしく追及」―琉球新報アーカイブから―


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 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 

 1972年3月28日の琉球新報1面トップは、沖縄戦での久米島住民殺害は悔いていないとの久米島「守備隊長」の〝鹿山発言〟について「責任きびしく追及/近く対策協を設置/久米島郷友会/きょう抗議声明」との見出しで、地元の強い反発を伝えている。教職員組合の沖教組も事態を重視し「沖教組も調査へ/書記長、きょう現地に飛ぶ」との見出しで同団体の行動を紹介する記事も隣接して掲載している。

 沖縄の返還に伴って日米間で合意された米国による補償費用について、日本側が隠密に代わりに支払うことにした「日米密約」が衆院予算委員会で追及されたことが紹介されている。「米の補償費肩代わり/横路氏、〝日米密約〟で政府追及」との見出しで、沖縄返還に伴う密約の存在が公にされている。この沖縄返還密約は後に、「外務省機密漏洩事件」という名称として外務省の女性事務官と新聞記者が機密を漏洩したとする国家公務員法で逮捕される事件へとすり替えられていく。

 復帰に伴う沖縄への自衛隊配備が当初予定より遅れる見通しになっている件に関する記事では「自衛隊/年末までに配備/久保・カーチス取り決め、事実上修正」との見出しで、正式に日米両政府官で配備日程を修正するための書簡を交換することになったことを伝えている。

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。