休校という決断 耳に残る区長の言葉 岩切美穂(北部報道グループ)


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

written by 岩切美穂(北部報道グループ)

 児童数の減少で、4月に休校する恩納村立喜瀬武原小学校の最後の卒業式を取材した。2021年度の児童は13人で、村内最少の学校だった。4人が卒業し22年度に新入生2人が入ると11人。5年生が最上級生になるはずだった。

 今後の児童増は見込めない。村も将来的な休校を視野に入れていたが、PTAと喜瀬武原区が1月、「(人数の多い)安富祖小に通わせるのが最善だ」と村に要望し、急展開で休校が決まった。

 「人数が減り過ぎると子どもの負担が増す」。PTA会長が語った懸念や「子どもの声が常に生活の中にあった。寂しさがこみ上げるが、子どものためだ」と区長がつぶやいた言葉が耳に残った。

 地方の小規模校ほど住民との距離が近いのは全国共通だろう。私の地元奄美でも、学校の運動会は住民総出の一大イベント―なんてことは「小規模校あるある」だった。子どもの元気な声が響く学校は、地域の活気の源泉だ。

 奄美で学校の存続活動や休校の問題を取材した際は「何とか残したい」と奮闘する人がいる一方で「活性化を子どもに背負わせるのか」とためらう人もいて、何が正解か迷った経験がある。

 喜瀬武原区の苦渋の決断を前に思った。地域の人々が悩んで出した結論が、その地域の正解だ。赤瓦が映える校舎がいずれ有効活用され、喜瀬武原に新たな活気が育まれることを願う。

(金武町、宜野座村、恩納村、伊江村担当)


ゆんたくあっちゃー 県内各地を駆け回る地方記者。取材を通して日々感じることや裏話などを紹介する。