復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月30日「『密約』ないと愛知前外相」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年3月30日の琉球新報1面トップは、「通貨切り替え/5月15日から1週間/本土政府『復帰前』は断念/現金は防衛庁船で」との見出しで、日本復帰に伴う通貨交換について本土政府が復帰前はできないと判断した記事を掲載している。記事中では大蔵省の見解として「五百億円という通貨を本土の港から輸送し、全琉各地の百八十カ所にのぼる交換所に配るだけでも二十日の期間が必要」と伝えている。

 沖縄返還に伴う密約を示す外務省の機密公電が国会で暴露された件で、自民党の愛知揆一前外相の発言として「交渉内容には自信/『密約』ないと愛知前外相」との見出しで紹介している。記事中では愛知氏の発言として「沖縄の返還交渉には全く密約などというものはなく、当時の交渉当事者として交渉の内容と実態には自身を持っている。したがって、そのことだけを取り上げて政治責任を問題にされることは納得出来ない」と述べたことも紹介している。

 復帰に伴う基地従業員の解雇などに反対して無期限ストを続けている全軍労を支援しようと、県労協が総決起大会で全軍労を支援する行動を展開していることを伝える記事も掲載している。そでの見出しでは「基地再編強化は粉砕」とも掲げている。

 

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。