緊急着陸、民間空港トラブル懸念 米軍機が対中訓練拡大


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
機体トラブルのため新石垣空港に着陸した米軍普天間飛行場所属のオスプレイ(左)と、同行した機体=29日、石垣市白保の新石垣空港

 新石垣空港に緊急着陸した米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイや、同じ米軍普天間飛行場の所属機は、これまでも各地で緊急着陸を繰り返してきた。島しょ県の沖縄で航空便は観光客はもとより県民にとっても移動手段であり、経済をけん引する重要な役割を担っている。民間空港への緊急着陸の影響は大きい。

 米軍は、中国を念頭にアジア地域で存在感を示すことを重視している。緊急着陸したオスプレイが参加予定だったとみられるフィリピンとの合同軍事演習「バリカタン」は今回、過去最大規模となる計画だ。沖縄の周辺で訓練頻度が増すほど、県内でトラブルを引き起こすことが懸念される。

 今回の緊急着陸で民間機1機に約6分の遅れが出た。新型コロナウイルス感染拡大を受けた航空各社の減便中でなければ、さらに影響が出た恐れがある。また、着陸した2機のうち1機は、新石垣空港に駐機を続けている。大阪航空局石垣空港出張所によると、減便の影響で待機するスペースが確保できたが、コロナ禍より前の繁忙期であれば駐機場も埋まっていた可能性もある。

 航空評論家の青木謙知氏は「緊急事態を宣言した航空機が優先されるのは国際的に共通のルールで、仕方ない。飛行している限り、トラブルはあり得る。今回の原因を突き止めて再発を防止する策を講じるしかない」と述べた。

(明真南斗)