我部政男さん「史料をみんなが利用できるよう」東恩納寛惇賞受賞、研究への思い語る


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記念講演を終え、友人でジャーナリストの三木健さん(右)から花束を贈られる我部政男さん(中央)=29日、那覇市泉崎の琉球新報ホール(又吉康秀撮影)

 29日に琉球新報ホールで行われた「第39回東恩納寛惇賞」(琉球新報社主催、第一書房後援)の贈呈式は、新型コロナウイルス感染防止のため、出席者を事前に招待した家族や親戚、友人ら関係者に限定し、温かい雰囲気の中で開かれた。受賞者で記念講演した日本近現代史研究者の我部政男さん(83)は、ユーモアたっぷりに研究への思いを語り、会場は笑いに包まれた。

 記念講演で我部さんは謙遜や冗談を交えながらも、沖縄研究の土台となる史料の収集や刊行作業を続けてきた思いを語った。史料収集について「みんながやっていることだが、その集めた内容をみんなが利用できるシステムにはなっていないことは残念。史料をみんなが利用できるシステムをつくることは大切だ」と力説した。

 選考経過を報告した選考委員の赤嶺守さん(名桜大大学院教授)は「我部先生の史料に対する執念は人並みではなく、まねできない。史料を集めるだけでなく、集めたものを刊行し、共有している」と功績に敬意を表した。
 (古堅一樹)