30日に開かれる那覇軍港移設協議会で、政府は代替施設の形状を「T字形」とする計画案を示した上で、4月下旬までをめどに沖縄県と那覇市、浦添市の合意を得たい考えだ。自治体の合意が得られれば、日米で計画案を合意する方向で調整を進めている。一方、県幹部は「議会への説明を含め丁寧に対応していかなければならない」と述べ、早期の合意には慎重な姿勢を示している。
関係者によると、新たな計画について、浦添市から防波堤の一部が環境保全区域に掛かっているとの意見が出ている。一方、防衛省側は、保全区域外だとの認識を示し、形状案を変更する考えはないとの認識を示しているという。
30日の協議会でも議論に上がる見通しだが、国側と県内自治体の間で、意見の一致を見られるのかは見通せない状況だ。
防衛省は18年度から、逆L字形の移設案について、環境影響評価(アセスメント)の初期段階となる「配慮書」の作成に向けた作業に着手していた。その後、浦添市が軍港位置の見直しを求め、市の独自案である「南側案」を提示した経緯もあり、配慮書の作成作業は終了していない。
今後、県がT字の形状案に合意した場合でも、新たに環境部局がアセスの実施の必要性について検討する見通しだ。政府は4月下旬までに移設協議会を再度開催し、合意を取り付けたい考えだが、県庁内では同時期での合意を困難視する見方も上がっている。
さらに、現在の那覇軍港で実施された米軍機の離着陸を伴う訓練実施などを巡り、県議会与党から「移設の前提条件が崩れた」との声が根強くある。軍港内での訓練に関して、国側の説明にも注目が集まる。
(池田哲平まとめ)