復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉3月31日「海洋博会場への高速道路、建設構想を断念」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年3月31日の琉球新報1面トップは、復帰に伴う解雇問題などでストを続けている全軍労について立法院での議論を巡り「自民、院決議を静観/全軍労スト問題/代表派遣もしない/与党、徹底追及の構え」との見出しで、沖縄の自民党の態度とそれに対する立法院の屋良朝苗主席の与党側の対応措置も伝えている。自民党は全軍労問題に対して「反基地、反自衛隊と結びつけた政治的色彩の強いストであり、院で決議して代表派遣などの取り組みはしない」との方針を議員総会で決定したと紹介している。

 ハラ位置に配置された記事では「海洋博会場への高速道路/建設構想を断念/開催時までの完工不可能」との見出しで、海洋博会場への陸路として沖縄側が求めていた石川―名護―伊豆見―渡久地への高速道路について検討していた建設省が「開催時までには建設できない」との結論に至ったことを掲載している。

 別の記事では「尖閣列島は日本領土/共産党も公式見解を発表」との見出しで、公明党や民社党も尖閣は日本の領土とする見解に加えて与野党で一致している状況を紹介している。

 あと、短いサイゴン発の共同電で「米軍大型ヘリ、撃墜される」との1段見出しで紹介している。米軍C130大型ヘリが作戦中に地対空ミサイルで撃墜され、乗員全員が死亡したとみられることを伝えている。

 

 

 

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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。