【記者解説】沖縄県、訓練常態化を懸念 那覇と浦添に温度差も 那覇軍港移設協議会


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(右)オンラインで開かれた国と県、那覇市と浦添市による那覇港湾施設(那覇軍港)の移設協議会。県側は金城賢知事公室長が出席=30日午後、県庁(又吉康秀撮影)(左)防衛省担当者ら=都内の同省

 国は30日の移設協議会で、那覇港湾施設(那覇軍港)の移設先でも現行の訓練を想定しているとの見解を示した。那覇軍港では2月に垂直離着陸輸送機MV22オスプレイなどの飛来を伴う訓練が実施されたが、移設後も常態化する懸念が一層高まった形だ。県は那覇軍港の浦添移設を容認してきたものの、国側が代替施設での訓練実施を明言したことで、与党調整なども難航する見通しだ。

 ただ、県が訓練の実施表明に反発した一方、浦添市や那覇市との温度差もみられた。訓練実施に対して、浦添市側は「安全面に最大限配慮し、地元住民に与える影響を最小限にとどめる」よう要望した。那覇市も現在の軍港で「運用拡大は認められない」と主張し、移設後の訓練への賛否は明確にしていない。

 国側が次回会合を4月下旬と提示したことを、県は困難視したが、参加者の中には民港部分の港湾計画改定に影響がないよう早期開催を要望する意見も上がった。3自治体の間で、足並みは必ずしもそろっているとは言い難い状況だ。

 浦添市幹部は30日、市議会与党への説明で「知事は選挙をひかえ、軍港移設に賛成しないのでは。ぎりぎりまで引き延ばすのではないか」との見解を述べたという。同市議会内では近く開く臨時会で、配置や形状案に賛成を求める意見書を提案する動きも出ている。

 協議会終了後、県の金城賢知事公室長は「(航空機飛来は)常態化する形になると機能強化になるので認められないと申し上げた。この点は国にしっかり意見を伝えていきたい」と強調した。移設協議会での受け止め方が大きく異なる中、3者で早期の合意に至れるのかは見通せない状況だ。
(塚崎昇平、吉田健一、知念征尚)