復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉4月2日「自民折れ、野党の条件のむ」―琉球新報アーカイブから―


この記事を書いた人 Avatar photo 滝本 匠

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年4月2日の琉球新報1面トップは、「自民折れ、野党の条件のむ/冒頭、首相が見解/各党首、所信表明で追及」との見出しで、返還補償費用の密約感連をめぐる密約の政府責任などについての攻防が伝えられている。関連の解説記事で「命運尽きた佐藤政権/公、社に同調、追い込む」との見出しで、沖縄返還密約の国会論議への影響を伝えている。

 2番手の左肩には「基地総点検構想固まる/防衛庁に調達本部/在日米軍・自衛隊基地、合理的運用図る」との見出しで、基地の防衛上の問題点などのプロジェクトを予定していることを野呂防衛次官が明らかにしたとの記事を掲載している。記事中では「『基地問題プロジェクト・チーム』構想は、極東の緊張緩和に伴う在日米軍の撤収と、基地再編や国内における都市開発の進展に伴う基地反対闘争の激化などによって、最近各地で基地問題が深刻化していることを重視した野呂成務次官が、江崎長官に進言、防衛、施設両庁事務当局とも協議し、構想の具体化を進めていた」と解説している。ここで言う「国内における都市開発の進展に伴う基地反対闘争の激化」が、その後、どういう影響・変化を及ぼしたのか確認しておくべき点だと思われる。

 返還に伴う〝沖縄恩赦〟の検討について「沖縄関係、選挙違反を含めた、大規模な恩赦になる見通し」と記し、日本政府内で議論されていることも伝えている。佐藤栄作首相が参院予算委員会で「沖縄の米軍政下の犯罪については大赦をやらなけばならないと考えている」と答弁したことも掲載している。

 

 

 

 

 

 

 ◇  ◇  ◇

 

 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。