「公務員の誇りを忘れないで」 謝花前副知事が県職員にエール


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退任に当たり、県政への思いなどについて語る謝花喜一郎前副知事=31日、県庁(ジャン松元撮影)

 翁長雄志前県政から玉城デニー県政と二代にわたって副知事を務め、沖縄振興や基地問題に取り組んだ謝花喜一郎氏(64)が3月31日付で退任した。2018年4月に副知事に就任した直後に翁長氏が急逝する重大な局面を迎え、辺野古新基地建設問題で埋め立て承認の「撤回」を指揮するなど激動期の県政を支えた。退任前に取材に応じた謝花氏は「公務員としての矜持(誇り)を忘れないでほしい」と県職員にエールを送った。

 沖縄の日本復帰40年から10年間の第5次沖縄振興計画がスタートした12年、仲井真弘多知事の下で企画部長に起用された。一括交付金特別枠の制度設計を担うなど、内閣府との交渉や県庁内の議論など沖縄振興をリード。制度の骨格は復帰50年以降の第6次計画にも引き継がれる。

 翁長県政となった16年には基地・渉外部門を所管する知事公室長に任命された。うるま市での米軍属による女性暴行殺人事件、名護市安部でのオスプレイ墜落など、米軍関係の事件、事故を行政の最前線で対応した。

 県民の怒りの高まりに「全国に沖縄の現状を知ってもらう必要があると感じた」と振り返り、基地問題を分かりやすく伝えるQ&A集、地位協定に関する事例集の作成などにも取り組んだ。

 副知事任期の後半は首里城焼失、新型コロナウイルス対応に奔走した。「県と政府が対立しているのは辺野古の問題だけだ。半歩でも、少しずつでも、理解してもらえるよう向き合い、努力することが大切だ」と語り、後進への思いを語った。 (池田哲平)